私たちは最新の遺伝子工学技術で健康の維持・増進に繋がる機能性食品の開発に役立つ研究をしています。
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ミツバチは女王蜂と働き蜂からなる階級社会(カースト)を形成しており、同じ遺伝型をもつ幼虫の中でも働き蜂が分泌するローヤルゼリー(RJ)を摂取した個体のみが女王蜂へと分化している。女王蜂は働き蜂に比べ、体サイズが1.5倍、寿命が20倍であり、卵を一日に2000個産むという特徴をもっている。これまでにこの女王蜂への分化のしくみについてはまったく明らかになっていなかった。そこで、本研究においてミツバチの女王蜂分化誘導機構を解析した結果、RJ中に含まれる成分「ロイヤラクチン」が女王蜂の分化を誘導する因子であることを明らかにした。さらに、驚くべきことにロイヤラクチンをDrosophilaに投与或いは過剰発現させた場合にも、女王蜂と同じような体サイズ、産卵数、寿命の増加が見られた。Drosophila及びミツバチを用いた詳細な解析から、ロイヤラクチンはEGFRシグナルを活性化し、女王蜂分化を誘導していることが明らかとなった。ミツバチのカースト分化はハチの生態の根幹をなす現象であることから、今回の研究成果は、今後のミツバチの安定供給のための飼育法の開発やミツバチが突然失踪する現象(蜂群崩壊症候群)の解明につながるものと期待できる。
富山県立大学の鎌倉昌樹講師(工学部生物工学科)は、ミツバチの女王蜂分化を誘導する因子としてロイヤラクチンを発見し、さらにその作用メカニズムを明らかにした。この研究成果は、英国科学雑誌「Nature」(電子版)2011年4月24日号に掲載されている。
This paper is selected as a 'Must read' paper by Faculty of 1000 (selected by Dr. Saskia Hogenhout).
日本語のレビューがライフサイエンス新着論文レビューに掲載された(総説)
多細胞生物は発生過程において周囲の環境が細胞増殖や組織形成に様々な影響を与え、個体の表現型が変化する。本研究においては、ショウジョウバエやミツバチを対象として、個体のサイズや器官の形態形成が幼虫期における細胞内シグナル因子やホルモン(幼若ホルモンや脱皮ホルモン)関連シグナルによってどのように制御されているについて解析を行っている。女王蜂は働き蜂と後肢の形態が大きく異なる。現在、女王蜂の後肢の発生についても解析を行っている。